子供の成長に必要な成長ホルモンは栄養、睡眠、運動によって分泌が促されると言われています。
前回は運動についてまとめましたが、今回は栄養と成長の関係についての内容をいくつかのデータを基にまとめてみました。
食事(栄養)は子供の成長にすごく影響する!
運動よりも、睡眠よりも、食事(栄養)の摂取が子供の成長に大きく影響しそうです。
なぜそう言えるかというと、子供の運動時間や睡眠時間は昔に比べて少なくなっていると言われているのに対し平均身長は伸びてきている、というのが大きな理由です。
成長ホルモンの分泌に必要な要素「栄養」「睡眠」「運動」
平均身長:昔<今
昔に比べて「運動量↓」「睡眠時間↓」
消去法でも「栄養」が成長ホルモンの分泌に大きく影響していそうなことが想像できます。
ということは、昔よりも現代に近づくにつれて栄養摂取の量が多くなり、その結果平均身長が増加していったのだろうと考えることができます。
順を追ってご説明します。
平均身長の推移
まず、日本人の子供の平均身長は昔から今に至るまでどのように推移しているかみてみましょう。
令和元年度 学校保健統計 調査結果の概要によると、
『男子,女子共に昭和 23 年度(1948年)以降,伸びる傾向にあったが,平成6年 度(1994年)から 13 年度あたりにピークを迎え,その後おおむね横ばい傾向となっている』とあります。
下のグラフは身長の平均値の推移をグラフにしたものです。


また同じ資料に子世代、親世代(30年前)、祖父母世代(55年前)の身長を世代間で比較したデータが載っています。
このグラフからも、各世代間で身長が概ね増加していっていることが分かります。


栄養素について
平均身長は少しずつ増加していき近年は横ばいでした。
その要因としてよく言われているのは「栄養摂取の影響が大きい」というものです。
つまり、昔は今ほど十分な栄養を食事から得ることができなかったから身長が今ほど大きくなかった、ということです。
時代をもっと遡ると、縄文時代から現代までの中でもっとも平均身長が低かったのは江戸時代という記事をいくつか目にします
日本人の身長変遷の謎 江戸時代の人が一番平均身長が低かった理由 – ライブドアニュース
男性の平均身長が155cmだった江戸時代。坂本龍馬など有名人の身長は?【22人】|江戸ガイド
その要因は諸説ありますが、江戸時代の頃は肉食があまり一般的ではなかったために動物性タンパク質が欠乏し骨の成長の停滞に繋がったのではないか、などと言われています。
つまり、タンパク質の摂取量が平均身長の増加に関係すると言われているのです。
ではなぜ、タンパク質の摂取が身長を伸ばすために必要なのでしょうか?
それは、タンパク質は骨や筋肉の材料になる成分だからです。
タンパク質という材料がないと身体の中で骨や筋肉を作ることができません。
身長が伸びる時は身体の中の骨が伸びることが必要なので、骨が作られなければ身長を伸ばすことができないのです。
「骨というとカルシウム」と思いがちですが、骨の成長にタンパク質は欠かすことができないものなのです。
東京農業大学総合研究所の石見佳子先生が日本食生活学会誌に投稿した「日本人の食生活の現状と課題」という論文に、
『調査初期の1947年から1975年ころまではタンパク質および脂質の摂取量は急激に増加し、その後1995年頃までは緩やかに増加している』
と書かれています。
やはり、昔よりも現代に近づくにつれてタンパク質の摂取量は増えているようです。
西暦と照らし合わせると、1995年は平成7年です。
また1947年は昭和22年です。
平均身長の推移とタンパク質の摂取量の推移はぴったり一致します。
つまり、タンパク質の増加と平均身長の増加は相関関係にあると言えそうです。
因みに、成長ホルモンそのものも主にタンパク質で作られています。
タンパク質の必要量
子供の成長に栄養、特にタンパク質が必要そうだということは分かってきました。
では、実際にどの程度のタンパク質を1日に摂取すればよいのでしょうか。
日本人の食事摂取基準2020年版によると、どの年代においても1日に摂取したいタンパク質の目標量は1日の総摂取カロリーの13〜20%ということです。
実際の量(g)はどのくらいかを表にまとめてみました。
男児 | 女児 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 平均体重 (kg) | 推定平均 必要量 | 推奨量 | 平均体重 (kg) | 推定平均 必要量 | 推奨量 |
1~2 | 11.65 | 15 | 20 | 11.05 | 15 | 20 |
3~5 | 16.1 | 20 | 25 | 15.9 | 20 | 25 |
6~7 | 22.65 | 25 | 30 | 22.05 | 25 | 30 |
8~9 | 28.2 | 30 | 40 | 27.25 | 30 | 40 |
10~11 | 36.55 | 40 | 45 | 35.55 | 40 | 50 |
12~14 | 46.73 | 50 | 60 | 45.46 | 45 | 55 |
15~17 | 55.5 | 50 | 65 | 50.9 | 45 | 55 |
1~2歳の男児女児は1日に15gが必要量、20gが推奨量ということです。
平均体重は厚生労働省の2017年度国民健康・栄養調査をもとに算出しました。
ざっくりとですが、必要量は体重の単位をkgからgに変えた値より少し多め、という感じでしょうか。
つまり、体重30kgの子供だと1日に30g以上のタンパク質を摂りましょう、ということになります。
私の子供が通っている小学生では、給食の献立表に1食分のエネルギー(カロリー)とタンパク質が表示されています。
タンパク質は少ない時で1食24g、多い時で30g摂取できるようにメニューが作られています。
タンパク質だけ表示されていることからも、子供の成長に重要なんだろうということが想像できますね。
いかがだったでしょうか?
今回は、子供の成長に栄養がとても重要であること、特にタンパク質の摂取量が関係していることについて書きました。
他にも、「牛乳を飲むと背が伸びる」と言われますね。
また最近は「背が伸びるサプリメント」なんてものもあります。
これらの効果についても別の記事でまとめたいと思っています。
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