子供の成長に必要な成長ホルモンは栄養、睡眠、運動によって分泌が促されると言われています。
その中でも今回は運動と成長に関して調べた内容をまとめました。
運動がどのように成長に影響するのか。どの程度の運動をすれば良いのか。興味のある方は是非呼んでみてください!
運動が子供の成長に及ぼす影響
運動によって脳の下垂体という部位から成長ホルモンの分泌が促されます。
分泌された成長ホルモンは肝臓に作用してインスリン様成長因子(IGF-1)という物質を作らせます。
このIGF-1が骨に作用して背を伸ばします。
また成長ホルモンは直接的にも骨に作用して骨を長軸方向へ伸ばします。
つまり成長ホルモンと、成長ホルモンに刺激されて分泌されたIGF-1という二つの物質によって骨が成長することで身長が伸びるんです。
間接的にも運動は成長に関与します。
成長には栄養と睡眠も大切ですが、まず運動することでお腹が減ります。
お腹が減るので食事をたくさんとれるようになります。
食事をたくさんとれば、それだけ多くの栄養を摂取することができます。
運動で血行がよくなれば身体に取り込んだ栄養が全身に運ばれやすくなるという効果も期待できます。
また運動によって身体は疲れます。
そして疲れれば夜よく眠れます。
つまり、運動をすることで食欲が増したくさんの栄養を摂ることができ、さらに疲れから十分に睡眠をとることができる、という好循環に繋がります。
成長ホルモンは夜10時〜深夜2時の間に多く分泌されることが分かっています。
さらに深い眠りほど成長ホルモンの分泌を促すことも分かっています。
このように、運動は直接的あるいは間接的に成長に影響を与えているんですね(^^)
どのような運動が良いのか?
ではどんな運動をすれば成長をより促進してくれるのでしょうか?
結論から言うと、「これをやったら背が伸びる」という医学的な根拠がある運動はないようです。
私がよく参考にさせていただいているたなか成長クリニックの田中院長もHPの中で「運動自体が成長を促進するものではない」と書いています。
私が学生の頃は、バスケットボールやバレーボールなどジャンプを繰り返すスポーツほど身長が伸びやすい、ということが言われていました。
今でも、たくさんジャンプして骨にある程度縦方向の圧力が加わる運動の方が身長を伸ばすためには適している、と言っている人もいます。
そう言った主張をする人たちの根拠は、骨の「骨端線」と呼ばれる部分に縦方向の圧力が骨の発育を促すから、というものだと思います。
ただ、人の身体には走っても体重が骨に圧力がかかります。もっと言うと立っているだけでも骨には縦方向の圧力がかかっています。
そう考えるとどんな運動でも骨には圧力をかけてくれそうです(^^)
ちなみに思春期は運動による成長ホルモンの分泌を促す反応が大きくでるそうです。
中学生には部活動などで身体を動かす機会が増える子が多いと思いますが、成長のためにもこの時期に積極的に運動することは大切といえそうですね。
運動によるリスク
運動の種類によって成長の程度が大きく変わることはないことがわかりましたが、逆に「こんな運動は良くない」というのはある程度あるようです。
一つは極端に激しすぎる運動です。
理由は疲れすぎて運動後の食欲が落ちると十分な栄養をとることができなくなることが挙げられます。
二つ目は重いものを持ち上げるような運動なども良くないとされています。
これには軟骨を傷めたり骨の変形を引き起こすリスクがあります。
なぜそういったことが起こるかというと、子供の骨は大人の骨に比べて弱いからです。
そのため過度な負荷を加えると骨や関節を傷める可能性があります。
ウェイトトレーニングなどの強い負荷を身体に加えるような運動は成長期が終わってから行う方が良さそうですね。
結局、適度な運動を継続的に行うのが良さそうです。
適度な、というのは翌日に疲れが残らない程度が良いみたいです。
運動をすればするほど良いのか?
次に、適度な運動を継続的に行えば行うほど身長は伸びるのか?という事について考えてみたいと思います。
今回参考とするデータは、
少し古いですが平成14年に文部科学省の中央教育審議会から出された
「こどもの体力向上のための総合的な方策について(答申)」
それと令和元年にスポーツ庁から出された
「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」
です。
詳しく知りたい方は上記のデータをご覧いただきたいですが、私なりにまとめると、
- 平成13年度までのデータで子供の体力は低下している
- 身長は平成13年度と親の世代である昭和46年度を比較すると11歳男子の平均身長で4.5cm,14歳男子で4.6cm,17歳男子で2.6cm親の世代を上回っている
- 体格が向上しているにもかかわらず,体力・運動能力が低下していることは,体力の低下が深刻な状況であることを示している
- 子供の体力の低下は運動する量が減少したことによるものと考えられる
ということは、昔に比べて「運動の量は減少している」のに「身長は伸びている」ということが言えそうです。
つまり、運動の量が身長にそこまで大きく影響しているわけではなさそうということが分かります。
データが古いので、最近の子供の身長はどうかをみてみます。
学校保健統計調査(平成30年度)によると、身長は男子女子共に昭和 23 年度以降伸びる傾向にあり、平成6年 度から 13 年度あたりにピークを迎えます。そしてその後おおむね横ばい傾向となっています。
たまたまですが今回参考とした平成14年に出されたデータの頃の身長が近年の子供の身長としてはピーク値で、その後は平成30年時点まで横ばい傾向ということでした。
対して子供の体力はどうかというと、平成20年〜平成30年の経年変化で1週間の総運動時間は420分以上の子供はやや減少していました。
ここから読み取れる傾向は、「平成20年〜平成30年の子供の運動量はやや減少している」けども「身長はおおむね横ばい傾向」ということです。
まとめ
今回の内容をまとめると、
- 運動することで成長に関与する物質が脳から分泌され、骨にも刺激を加えるのでよい影響がある
- これをやったら背が伸びる、という運動は特にない
- 極端に激しい運動やウェイトトレーニングは成長期にはよくない
- 運動の量が身長に大きく影響している訳ではない
ということになります。
あれ、こうやって見ると運動がそこまで身長を伸ばすことに関与していないのではないか?という感じがしてしまいますね(^^;)
私なりに色々と調べてみましたが、どのデータや記述にも「運動は良い影響を与える」とはありますが、運動をしている子供としていない(少ない)子供の身長を比較しているデータというのは見つけることができませんでした。
そのため、いくつかのデータを組み合わせて私なりの解釈をしたのが今回の内容です。
くれぐれも言っておきますが、「子供の身長が伸びるかどうか 」について運動が大きく影響している訳ではなさそう、というだけであって、「子供の成長や発達に運動が必要ない」ということではありません。
おそらく、身長が伸びる伸びないということだけで言うと運動よりも栄養と睡眠の方が直接的には大きく関与しているのではないか、と考えられます。
成長過程にある子供にとって運動は必要だと思いますし、私も子供にはなるべく運動をして欲しいと思って実際に色々と運動するよう促しています!
今後、栄養と睡眠についても改めてまとめて書きたいと思っています。
今回は以上です!
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